元時代の陶磁器は盤(大皿)が多く伝わっていますが、その中でもこの「青花鴛鴦蓮花紋盤」は主要な作品です。皿の形は菱花口型と円口型の二種類がありますが、この作品は折沿(縁を削っている)菱花口型と言います。高さ約7cm、直径約46cmの雄大な大皿で原作は高台(圏足)と高台内は無釉(砂底)です。
皿は内側、外側とも青花で装飾されており、外壁面には蓮花紋が帯状に巡らされ、内側は口縁部に菱形紋が描かれ、その内側の腹壁には六つの蓮の花が唐草で(蓮花唐草紋)環状に配されています。皿の中央部には蓮池水禽紋が描かれています。池の中には仲のよい一対の鴛鴦と今を盛りと咲いている蓮の花が生き生きと描かれています。各々の紋様帯は明確に分かれており、各紋様間の余白がそれぞれの紋様を際だたせています。花紋は細密で青花の発色も鮮やかで、濃淡は明快です。
元代の青花磁器は造作がこれまでになく大きいことと、器面が鮮やかな青藍色で華やかに装飾されていることの二つの点が特色です。それは青花磁器の胎土と顔料によると言えます。景徳鎮の高嶺で盛んに採掘されたカリオン土が、おおぶりの青花磁器を素材面から可能にしました。このカリオンを混ぜることで強く引き締まった白磁の製造ができるようになったからです。そして装飾模様を描くのに使われた顔料が遠くイスラム圏から輸入された優れたコバルト顔料にあったのです。青花はイスラム圏からもたらされたコバルト顔料が当時世界最高の水準に達していた中国の白磁の技術と結びつくことで生まれた元代ならではの美術品となったのです。
元代の青花はその後、明や清の時代を通じて中国の、いや世界の陶磁器の主流へと登りつめていく先駆をなすものですが、その鮮やかな青藍色と宋代以来の絵画を紋様に取り入れた芸術性が相まって精緻、華麗な世界を出現させ、日本では「元染」と呼ばれて貴重視されています。

商品画像①
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商品コード ch1005
概寸 高約7cm x 口径約46cm x 底径約30cm
備考 景徳鎮御窯 製作
標準価格 227,000
ご提供価格 176,000円(税別)